仕事のプレッシャーや人間関係の疲れなど、現代のビジネスパーソンにとって日々のセルフケアは必須のスキルです。しかし、従業員が間違った解消法を選んでしまうと、ストレスが解消されるどころか、脳や体にさらなる負荷を与えて休職リスクを高めてしまうことがあります。
本記事では、意外とハマりやすい「間違ったセルフケア」の落とし穴と、人事担当者が従業員に推奨すべき正しいリセット術についてわかりやすく解説します。
私たちが「快楽」を感じるとき、脳内ではドーパミンという物質が分泌されます。しかし、手軽な快楽を追い求める「ドーパミン型」のストレス解消には依存性があり、かえって脳を疲れさせてしまいます。
・SNSのダラダラ見・動画のハシゴ:「何も考えたくない」とスマホを見続けるのは、実は脳にとって大量の情報処理を強いる重労働です。ブルーライトの影響も相まって、自律神経の乱れを招きます。
・ストレス発散のドカ食い:甘いものや脂っこいものを食べると一時的に幸福感は得られますが、血糖値の急激な乱高下(血糖値スパイク)を招き、その後、強烈な眠気や倦怠感に襲われます。
睡眠や自律神経を乱す誤ったアプローチ
「体を休める=手軽に発散する」という考えや、極端な行動が健康に悪影響を及ぼすことが、研究結果から明らかになっています。
・寝酒による睡眠の質の悪化:アルコール摂取と睡眠に関する研究によると、寝酒は入眠を早める一方で睡眠の後半戦でレム睡眠を減少させ、中途覚醒を増加させることが証明されています。結果として「睡眠負債」を増やすことになります。
・マインドフルネス等「能動的休息」の有効性:スマホを眺めるような「受動的な時間」ではなく、マインドフルネス瞑想や散歩などの「自分の感覚に集中する能動的な休息」を取り入れることが、心理的ストレスや不安を効果的に軽減することが研究結果から支持されています。
職場の健康管理でお悩みなら
本当の意味で心身を回復させるには、従業員が「いつもと違う自分」に早く気づき、適切な対処法を選択する力が必要です。人事が促すべきアクションを整理します。
① 不健康な解消法の「サイン」を見逃さない
日常の変化への気づき:「飲み会の頻度が極端に増えている」「昼休みにぐったり机に突っ伏している」といった様子は、セルフケアが上手くいっていないサインかもしれません。現場の管理職と連携し、睡眠の確保など「守りのケア」を優先するよう声かけを行いましょう。
② 「誰かに話す」ことの科学的効果の活用
産業医面談などの相談ルート確立:ストレスを一人で抱え込まず信頼できる人に話すことは、心理学的に「外在化」と呼ばれ、脳の不安を司る扁桃体の活動を鎮める効果があります。上司だけでなく、産業医や外部窓口など「安全に話せる場」を組織内に確保しておくことが重要です。
良かれと思って行っているストレス解消法が、実は従業員の脳や体を疲弊させているケースは少なくありません。従業員一人ひとりが「自分に合った、本当の休息」を見つけられるよう、定期的な情報発信や産業医との対話の機会を活用し、組織全体のメンタルヘルスを守る体制を築いていきましょう。
今回のコラムでは、脳を疲れさせないための「引き算のセルフケア」の重要性をお伝えしました。では、実際に自律神経が今どれくらい乱れているのか、どうやって整えればいいのか。以下のYouTube動画では、スマートウォッチを使った自律神経のセルフチェック法や、その場で自律神経をリセットできる『4-7-8呼吸法』を産業医が実演・解説しています。ぜひ社内でシェアいただき、従業員の皆様と一緒に試して脳をリフレッシュさせてみてください。
産業医の選任・見直しをご検討
・Ebrahim IO, et al. Alcohol and sleep I: effects on normal sleep. Alcohol Clin Exp Res. 2013;37(4):539-549.
・Khoury B, et al. Mindfulness-based stress reduction for healthy individuals: A meta-analysis. J Psychosom Res. 2015;78(6):519-528
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