ヘルスケア

従業員の目を守る!職場のデジタル眼精疲労を防ぐ環境づくりと対策

作成日:2026年4月22日

はじめに

「目が重い」「夕方になると画面がかすむ」「肩こりや頭痛がひどい」 パソコンやスマートフォンが手放せない現代の職場において、こうした「デジタル眼精疲労(情報機器作業による不調)」を訴える従業員は後を絶ちません。今回は、厚生労働省の最新ガイドラインに基づき、本当に効果のある「目を守る対策」を解説します。

 

1. なぜ「デジタル作業」は目が疲れるのか?

私たちの目が疲れる最大の理由は、目を酷使する「環境」にあります。
① ピントを合わせ続ける「筋肉の疲弊」
近くの画面をじっと見続けるとき、目の中の「毛様体筋」という筋肉は常に緊張し続けています。これは、腕で例えれば「重い荷物をずっと持ち上げ続けている」のと同じ状態です。この筋肉のオーバーワークが、眼精疲労の正体です。

② 激減する「瞬き」とドライアイ
通常、人は1分間に約15〜20回の瞬(まばた)きをしますが、画面に集中するとその回数は1/3程度(約5〜6回)まで激減します。瞬きには涙を目の表面(角膜)に行き渡らせて、ドライアイを防ぎ、ワイパーのようにゴミや細菌を拭う効果があります。瞬きが減少することで、涙が蒸発して目の表面が乾燥し、かすみや痛みを引き起こします。

 

2. 国のガイドラインが示す「作業環境」のルール

厚生労働省は、令和元年に「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を策定し、企業が守るべき基準を示しています。

適切な「明るさ」の確保

暗い部屋での作業は、瞳孔が開きピント調節にさらに負担をかけます。

  • 照度の基準:机上の照度は300ルクス以上が目安です(書類と画面を交互に見る場合は、その明暗差を少なくすることが重要)。
  • グレア防止:画面に照明や太陽光が映り込む「反射(グレア)」は、目の疲労を倍増させます。ブラインドや画面の角度調整で対策しましょう。

 

3. 今日から実践!目を守る3つの鉄則

医学的な知見に基づき、パフォーマンスを維持するためのセルフケアを現場に周知しましょう。

鉄則①: 「1時間・10分」の休息ルール
ガイドラインでは、「1時間の連続作業につき、10〜15分の休止時間」を設けることが推奨されています。また、連続作業の合間にも、1〜2分程度の「小休止」を挟み、遠くを眺めて目の筋肉を緩めることが極めて有効です。

鉄則②: モニターとの「距離」と「視線」
距離:画面から目は40cm以上離しましょう。
高さ:画面の上端が「目の高さ」か、それよりやや下にくるように設置します。上を向く姿勢は目が大きく開くため乾燥しやすくなりますが、「少し伏せ目」になる角度にすると、涙の蒸発を抑えられます。

鉄則③: 適切な「度数」の眼鏡・コンタクト
ブルーライトカット機能がある眼鏡に変えることも大事ですが、まずは今の自分の視力と「作業距離(40〜50cm)」に合った度数になっているかを確認することです。合わない度数で無理にピントを合わせようとすることが、疲労の隠れた最大原因であることが少なくありません。

 

4. まとめ:眼精疲労は「休め」のサイン

眼精疲労が蓄積すると、イライラや抑うつ、睡眠障害といったメンタルヘルスの不調にも繋がることが指摘されています。「目が疲れた」という部下の訴えは、脳や体が休息を必要としているサインです。人事労務としては、デスク環境のチェックや、適切な休憩を推奨する文化作りを主導していきましょう。

▼【社内周知用】【医師が断言】仕事効率を40%下げる「ドライアイ」|放置すると危険です!
https://youtu.be/0bZG_BwrXYY?si=c-hffYe1s3Law2Me

 

産業医からのワンポイントアドバイス

「20-20-20の法則」をご存知でしょうか? アメリカ眼科学会議が推奨するもので、「20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を、20秒間眺める」という習慣です。アラームをセットして、チーム全体で「遠くを見る時間」を作ってみるのも面白い対策になりますよ。

参考文献

  • 厚生労働省. 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン. 2019.
  • Singh S, et al. Blue-light filtering spectacle lenses for visual performance, sleep, and macular health in adults. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2023
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