 
「検査では異常なし。でも体調がいまひとつ」— そんな時、原因のひとつとして挙がるのが自律神経の乱れです。自律神経は、活動モードの交感神経と、休息モードの副交感神経が協調して、心臓・消化器・血管など“意思では動かせない”臓器の働きを自動で調整しています。バランスが崩れると、動悸・睡眠の質の低下・頭痛・消化器不調など多彩な症状が出ることがあります。
本記事では、今日から試せる1分呼吸法と、ウェアラブルで見られるHRV(心拍変動)の活かし方を、最新の情報に沿ってわかりやすくまとめました。
・交感神経=アクセル:心拍・血圧・血糖を上げ、仕事や運動のパフォーマンスを支える。
・副交感神経=ブレーキ:休息・消化・睡眠を促し、回復を進める。
この2つが綱引きをしながら、体の状態を“自動調整”しています。
検査ではわかりづらい一方で、次のような症状が続くことがあります。
・安静時でも動悸がする
・手足が冷える
・汗が頻繁に出る
・下痢や便秘をくり返す
・眠りが浅い/夜中に何度も目が覚める
・頭痛・頭重感が続く
HRV(Heart Rate Variability=心拍変動)は、鼓動と鼓動の間隔のゆらぎを数値化した指標で、自律神経の働きと関係が深いとされます。医療用の診断ではありませんが、リラックス度合い・疲労の蓄積の目安として、同じ端末・同じ時間帯で推移を見るのがコツです。
Apple Watch は光学式心拍センサーで心拍を測定し、そのデータからHRV(歩行時平均等)も算出します。
参考値として活用し、絶対値ではなく“自分比の変化”を見ましょう。
ハーバード大卒の医師 Andrew Weil が普及させた呼吸法で、不安感の軽減や入眠サポートなどに用いられています。ポイントは、息を止める+長く吐く=副交感神経が働きやすいこと。
やり方(1サイクル)
4秒:鼻から静かに吸う
7秒:息を止める
8秒:口から細く長く吐く
→ 4回から始め、慣れたら最大8回。1日2〜3セット(就寝前・緊張前など)がおすすめ。
ただし、めまい・息苦しさが出たら中止。
・会議の冒頭30秒:チームメンバーで4-7-8呼吸を1〜2回。
・昼の“マイクロ休息”:自分の席で4-7-8呼吸を3〜4回。
・HRVの朝の傾向だけ確認:低めが続く日は、昼に5分の散歩+深呼吸を追加。
(数値は診断ではなく“体調の目安”として)
・Apple Support:Apple Watch の心拍数測定と HRV に関する説明
関連動画
YouTubeチャンネル『産業医 北口真生/働く人のヘルスケアラボ』
【医師解説】1分の「◯◯呼吸法」で自律神経リセット!ストレス・不眠を解消します!
・自律神経はアクセル(交感神経)とブレーキ(副交感神経)のバランスで体調を守っています。
・HRVは今のゆらぎを見る参考指標。同じ端末で、同じ時間帯に“推移”で見るのがコツ。
・4-7-8呼吸は1分でできる実践的なリセット。寝る前・緊張前・イライラ時にどうぞ。
つらい症状が強い/長引く場合は、まず医療機関での評価を。
業務や職場要因が強いときは、産業医へ相談し、業務量や働き方そのものの見直しを進めましょう。
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