ヘルスケア

血糖値スパイクが午後の眠気を生む?仕事のパフォーマンスを守る食事術

作成日:2025年12月18日

はじめに

午後の業務や会議中、まぶたが重くなり集中力が切れてしまう従業員の姿を見かけることはありませんか?
これは単なる「睡眠不足」や「気合の足りなさ」ではなく、「血糖値スパイク」と呼ばれる現象が引き起こしている可能性があります。
今回は産業医の視点から、血糖値と仕事の生産性の関係、そして企業として推奨すべき「食事術」について解説します。


1. パフォーマンスを奪う「血糖値スパイク」の正体

健康診断の血液検査で調べる血糖に関する項目は主に2種類あります。空腹時血糖は現時点での血糖値を、HbA1cはここ1~2か月の平均的な状態を表します。これらの数値が正常であっても、食後に一時的に血糖値が急上昇・急降下する現象が「血糖値スパイク」です。

長時間の欠食(飢餓状態)から急に食事をすると、急激な血糖上昇が起こり体への負担が大きくなります 。 血糖値が急上昇すると、それを下げるために膵臓から「インスリン」というホルモンが大量に分泌されます。この血糖値の乱高下は強烈な眠気、だるさ、イライラ、集中力の低下を引き起こす要因の1つとなります。

 

2. 医学的根拠に基づく「スパイクを防ぐ」3つのアクション

では、どうすれば血糖値を安定させ、1日を通じて高いパフォーマンスを維持できるのでしょうか。
3つのポイントを紹介します。

① 「食べる順番」を変える(ベジ・ファースト)
複数のランダム化比較試験において、炭水化物(糖質)の前に野菜(食物繊維)や肉・魚(タンパク質)を摂取することで、食後の血糖値上昇が有意に抑えられることが証明されています。「おにぎりだけ」「うどんだけ」といった単品ランチは血糖値を急上昇させやすいため、まずはサラダや小鉢から手をつけるよう意識づけることが有効です。

② 欠食を防ぎ、ゆっくりよく噛む
忙しいからと朝食を抜く従業員は少なくありません。欠食していた時間が長いと、次の食事を食べたときに血糖値が急上昇しやすくなります。少しでもよいので欠食をなくし、規則正しく食事をすることが重要です。また、早食いも血糖値が上昇しやすくなるため、ゆっくりよく噛んで食べることを意識しましょう。

③ 食後すぐに「軽く動く」
食直後はすぐに座らず、ウォーキングなどの有酸素運動や軽い筋トレ(スクワットなど)を取り入れると血糖の上昇を緩やかにします 。 実際、2022年に発表されたスポーツ医学のシステマティック・レビューにおいても、「食後数分間の軽い歩行」が食後血糖値のピークを有意に抑えることが確認されています。

 

3. 動画で学ぶ正しい食事術

「わかってはいるけれど、実践が難しい」という従業員向けに、日々の食事選びのコツや具体的なアクションをまとめた動画をご用意しています。社内報や健康管理のポータルサイトでぜひご活用ください。

▼【万病の元?】血糖値の完全攻略法10選を現役医師が解説

https://youtu.be/B-aLyLH62ng?si=S0CkVBQMIcF3t0Ax

 

まとめ

「午後になるとミスが増える」「会議の生産性が低い」といった人事課題の背景には、従業員の食事習慣が潜んでいるかもしれません。 高血糖の状態が続くと糖尿病となるリスクがあり、進行すると失明や人工透析に至る可能性もあります。 個人の自己責任に留めず、「食後の軽い散歩を推奨する」「社食のメニューに小鉢を追加する」といった環境整備を行うことで、組織全体のパフォーマンスの底上げに繋がります。

産業医からのワンポイントアドバイス

食後すぐにデスクで仮眠を取ることを推奨する企業もありますが、実は食後15分程度は「座りっぱなし」を避けて少し歩く方が、午後の眠気覚ましには効果的です。「ランチの後は、少し遠回りのルートでオフィスに戻ろう」といった、ちょっとした声かけを現場の管理職から発信してもらうだけでも、従業員の意識は変わっていきます。

参考文献

Shukla AP, et al. Carbohydrate-last meal pattern lowers postprandial glucose and insulin excursions in type 2 diabetes. BMJ Open Diabetes Res Care. 2017

.Reynolds AN, et al. The Acute Effects of Interrupting Prolonged Sitting Time in Adults with Standing and Light-Intensity Walking on Biomarkers of Cardiometabolic Health in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Med. 2022

厚生労働省. e-ヘルスネット「食後高血糖」

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