高血圧はサイレントキラー。血圧を下げる「減塩以外の」生活習慣

作成日:2025年12月8日

はじめに

「血圧が少し高いけれど、仕事に支障はないから大丈夫」。貴社の従業員の中に、このように健康診断の結果を軽く考えている方はいませんか?
高血圧はサイレントキラーです。自覚症状がないまま血管にダメージを与え続け、ある日突然、脳卒中や心不全といった重大な事態を引き起こします。対策といえば「減塩」が定番ですが、外食やコンビニ利用が多い働く世代にとって、塩分制限を継続するのは容易ではありません。今回は、血圧を下げるための4つの習慣について解説します。


1. なぜ高血圧は放置してはいけないのか

高血圧の状態が続くと、血管は常に高い圧力にさらされ硬くもろくなります(動脈硬化)。厚生労働省によると、正常血圧の人と比較して高血圧(Ⅱ度以上:160/100mmHg以上)の人は脳卒中や心臓病のリスクが約5倍にまで跳ね上がることが示されています 。「自覚症状がないから」と放置することは、いつ破裂するか分からない爆弾を抱えて働いているのと同じなのです。

引用) 生活習慣病を知ろう!血圧 健康日本21アクション支援システム 厚生労働省

 

2. 減塩以外の血圧を下げる「4つのポイント」

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、1日の塩分(食塩相当量)摂取目標量は、成人男性7.5g未満、女性6.5g未満となっています。おにぎり1個でおおよそ1〜1.5gの塩分が含まれると考えると、基準を毎日クリアし続けるのは極めて厳しい基準です。しかし、「完璧な減塩はできないから」と諦めて放置してしまうのが最も危険です。食事以外にも血圧を下げる有効な手段があるため、減塩と合わせて以下4つのポイントを意識しましょう。

① 「プラス10分」の歩行(運動習慣)

複数の研究を統合したメタ解析によると、ウォーキングなどの有酸素運動を継続することは、循環器死亡のリスクが10%程度低くなることが示唆されています。いきなりハードな筋トレは必要ありません、「今より10分多く歩く」ことから始めるよう従業員に促しましょう。

② アルコールの「適量」を守る(節酒)

飲酒量と血圧の間には明確な相関関係があります。アルコールの摂取はもちろん、飲酒時間が長くなることで食事やおつまみなども進み塩分の摂取が過多になりやすいため、適量を守った飲酒をすることで血圧改善の効果が期待できます。

③ 睡眠の「質」を確保する

睡眠不足や睡眠の質の低下(中途覚醒など)は、交感神経を刺激し血圧を上昇させます 。6時間未満の短時間睡眠は、高血圧だけでなくうつ病や糖尿病のリスクも高めることが国内外の研究で証明されています。週末の「寝だめ」ではなく、平日の睡眠時間を確保することが血圧管理の鍵です。

④ BMI 25未満を目指す(体重管理)

肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、血圧を上げるホルモンの分泌を促します。BMI 25以上の従業員には、わずかな減量からでも血圧や血糖値の改善効果が得られることを伝え、スモールステップでの改善を支援しましょう。

 

3. 人事労務ができる「重症化させない」仕組み

現場の管理職や従業員任せにせず、組織として以下の重症化させない仕組みも整備します。

  • 受診勧奨の徹底: 健診で「140/90mmHg以上」となった従業員には、症状の有無にかかわらず速やかな受診を推奨しましょう。
  • 定期的な血圧測定の推奨: 1年に1回の健診のみでは「たまたま高かっただけ」と安直な解釈をし高血圧を放置してしまうこともあります。多少の費用はかかりますが、会社に血圧測定器を設置しましょう。定期的に血圧を測定し、自身の普段の血圧を把握することが、行動変容を促すきっかけになります。

 

まとめ

高血圧対策は、単なる個人の健康管理ではありません。社員の突然の離脱を防ぎ、プレゼンティーイズム(出勤しているが不調でパフォーマンスが上がらない状態)を解消するための、最も費用対効果の高い「経営戦略」の1つです。

▼【社内周知用】健康診断後に放置すると重篤な病気に!?絶対に受診してほしい項目と基準を現役医師が解説!
https://youtu.be/XWx8F5ldIHc?si=Fl7MfVlT1gMMdiCE

 

産業医からのワンポイントアドバイス

頭ごなしに「血圧を下げろ」とプレッシャーをかけても、自覚症状がなければ多忙な中で受診や生活習慣の改善は難しいのが実情です。しかし、高血圧の放置は一歩ずつ確実に健康を蝕んでいきます。例えば職場の目立つ位置に血圧計を置くだけでも、従業員の意識は変わります。血圧測定を日常の習慣に取り入れてもらい、普段から血圧が高いことを自覚させ、医療機関の受診や生活習慣の改善に向けたサポートをしましょう。

参考文献

・厚生労働省. 健康日本21(第三次)推進のための説明資料

・厚生労働省. 「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」

・厚生労働省.「日本人の食事摂取基準(2025年版)」

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