厚生労働省の労働政策審議会における直近の報告書において、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場に対するストレスチェックの実施を義務化する方針が示され、2028年4月の施行が見込まれています。
情報収集を始めている人事労務担当者の中には、「無料フォーマットで自社実施するのと、有料で外部委託するのはどちらが良いのか?」「高ストレス者の面接指導はどう対応すべきか?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、義務化を見据えたストレスチェックの実施手順と、企業の生産性を高め休職リスクを防ぐための産業医の活用法についてわかりやすく解説します。
ストレスチェックとは、従業員のメンタルヘルス不調を「未然に防止する(一次予防)」ための制度です。
ひとたび従業員がメンタルヘルス不調で病休になると、その期間は平均で約3か月にも及び、復職後に再び病休になる割合も約半数に上ると言われています。
特に人手不足に悩む小規模事業場では、これが大きな人材損失と経営リスクに直結します。
今後の法改正を機に、「義務だからやる」のではなく「人材定着のための経営課題」として捉え、組織の健康づくりに活かす視点が重要です。
専門家介入によるメンタルヘルス改善
ストレスチェックを実施し、適切に専門家(産業医など)の介入を行うことが従業員の健康維持にどれほど寄与するか、研究結果から以下の事実が示されています。
| 介入アプローチ | 研究・データに基づく効果 |
|---|---|
| 自己認知(気づき)の促進とセルフケア | 自身のストレス状態に気づくこと自体が、心理的苦痛を軽減する第一歩となります。職場のストレスマネジメント教育に関する研究では、自己状態の可視化とセルフケアの学習が、うつ症状や不安の軽減に有意な効果をもたらすことが証明されています。 |
| 医師による面接指導と休職予防 | 高ストレス者に対する専門家による早期介入は、長期休職リスクを低減させます。システマティックレビューにおいても、個別のサポートや就業環境の調整(環境介入)が、従業員のメンタルヘルス改善と生産性向上に効果的であることが支持されています。 |
職場の健康管理・ストレスチェック対応でお悩みなら
ストレスチェックの実施から面接指導、その後の職場環境改善までをスムーズに行うために、人事が検討すべき3つのステップを整理します。
厚生労働省が提供するフォーマット等を利用して無料で自社実施することも可能ですが、人事権を持つ者(社長等)が実施事務に従事できない点や、結果の漏洩を防ぐ厳重な情報管理体制が求められます。厚生労働省のガイドラインでも、労働者のプライバシー保護の観点から原則として外部機関への委託を推奨しています。
▼ 無料自社実施の注意点(デメリット)
▼ 外部委託の期待できる効果(メリット)
地産保と自社産業医の違い:50名未満の事業場であれば「地域産業保健センター(地産保)」を通じて無料で面接指導を受けることが可能です。
一方で、自社で契約している産業医であれば、貴社の業務内容や職場の人間関係を熟知しているため、より現実的で効果的な「就業上の措置(残業制限や配置転換など)」の提案が可能です。万が一休職に至った場合の継続的なフォローアップや復職支援もスムーズに行えます。
プロによる一貫したサポート体制構築:自社の課題に合わせて産業医サービスを選択しましょう。たとえば弊社では、毎回同じ産業医が担当し気軽に会社の健康相談ができる「Basicプラン」や、高ストレス者面談など必要な分だけ手軽に依頼できる「Spot Careプラン」をご用意しています。
制度施行時期が近づくと産業医は取り合いになるため、早めに依頼先を決めておくことが制度導入の鍵となります。
50名未満の事業場におけるストレスチェックの義務化は、2028年4月の施行に向けて議論が進められています。無料のツールを活用することも可能ですが、従業員のプライバシー保護や人事担当者の負担を考慮すると、外部委託と産業医の活用が最も安全で効果的です。
制度を単なる「義務」で終わらせず、働きやすい職場づくりのための投資として、今のうちから準備を進めていきましょう。導入に迷われた際は、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。
見えないストレスを放置することは、突然休職してしまう等会社にとって大きなダメージになります。ストレスチェックは早期にSOSに気づき、産業医という専門家と一緒に対応を考える「前向きな仕組み」だと捉えましょう。私たち産業医が、企業と従業員の両方をしっかりサポートいたします。
産業医の選任・見直しをご検討中の企業様へ
▼【人事向け動画解説】
・Ruotsalainen JH, et al. Interventions for preventing occupational stress in healthcare workers. Cochrane Database Syst Rev. 2015;2015(4):CD002892
・Richardson KM, Rothstein HR. Effects of occupational stress management programs: a meta-analysis. J Occup Health Psychol. 2008;13(1):69-93
・厚生労働省. 小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル.
コラム一覧に戻る